予備校の頃の思い出は、いろいろある。先生も特徴的であったし、友人となった人たちも面白い人々だった。携帯電話がなかった頃なので、大学生になったら、なんとなくみんな散り散りになっていった。今、どうしているのかということは、確認のしようもないのである。友人からノートを借りて、そのノートをなくしてしまったこともあったし、授業をサボって喫茶店で熱く将来を語っていたこともあった。予備校生とは言っても必ずしも勉強ばかりではなかった。
そんな予備校時代であるが、一番の思い出は、英語の先生の授業であった。世の中の格言を集めたようなテキストで、90分の授業であるのに、その時間に勉強する英語の量といえば15行程度の文章だけであった。それを日本語で訳させては、その文章の裏側にある意図を見つけ出そうとする授業であった。だから、ほとんど日本語での授業である。まるで、英語文学である。しかしながら、この授業で人生を学んだような気がするのである。
予備校生であったのは、1年だけであったが、学んだことは高校3年間より多かったような気がする。なぜだろうか、思い出すことが多いのは予備校生の頃である。がむしゃらに勉強して、忘れては覚えて、解けなかった問題は解答をみて解きなおして、とそんなことの繰り返しであったが、そんな中に、ふと考えることが楽しいことであったりした。友人たちとの会話も熱かったような気がする。あの頃のバイタリティがあってこその今だと思っている。